フリーランスがイラスト制作を工数計算するのはリスキーですよ?
1万RTもされて見かけたのがこちら↓
【誰も教えてくれないイラストレーターの価格交渉の仕方】あくまで初歩的なモノですが、あまりにも安い価格で引き受けてしまうと生活が破綻しますので、そんなときは工数/日を計算してみると役にたちます。¥だと生々しすぎるのでペソにしました。 pic.twitter.com/P4ISdsZ0Dg
— さいとう なおき (@_NaokiSaito) 2016年8月23日
よくある単価交渉系のツイートですね。
これをパッと見た時、なんかおかしくね!? って凝視してしまった。
誰が工数計算由来の見積もりを出すかによって意味合いが異なる
だって、雲の上のイラストレーターを別にすると、市場にいるイラストレーターって、以下の3種類じゃないでしょうか。
- 駆け出しイラストレーター←仕事を広げていきたい。学生あるいは兼業あるいは実家暮らし
- 熟練グラフィッカー←絵柄がある程度操縦できる、企業にとって使い勝手のいい相手。意外と単価が高いが仕事や納期はきっちり
- 名前の通ったイラストレーター←そこまで新規の仕事は必要ない。ファン層がいて名前が出ればある程度の注目が期待できる
いずれがするかによっても違うと思いますが、経験上、熟練グラフィッカーとそこそこのイラストレーターは自分なりの単価があることがほとんど。
もちろん、その単価っていうのは、そこにかかる時間から算出しているのだろう。
だから、結局工数計算なんじゃん!
って言われるかもしれないけど、そこに違和感が……。
結論から言っちゃうと、
下手な人ほど高報酬な糞システムじゃん
って思っちゃうからだろうな。
未熟なほど高報酬になるのが人日計算
建設業界とかなら、人日計算って妥当だと思うんです。
リフォームで便利屋やリフォーム業者に見積もりしてもらったことがあります。
どの業者の見積書も、ほとんど値段は変わりませんでした。
個人差での仕事の速度やクオリティにそれほど差がないためだと認識しています。そもそもなぜ標準化できてるかっていうと、歴史が古く、これにはこれくらい時間がかかるのが一人前だよね、っていうレギュレーションがあるから。(推測に過ぎませんが)
が、イラストレーターに関しては?
プロの作業工数とアマチュアの作業工数って、ものすごい開きがあります。それは、「リフォーム業者」と「日曜大工が趣味レベルの人」では作業時間に開きが出るのと同じです。(もちろん上手な人はいくらでもいると思いますが)
イラストに限らず、クリエイティブの制作は、熟練していれば、しているほど作業時間は短くなります。
絵を描いた人ならわかると思いますが、何度も下書きや構図を悩んだり、ペン入れ(クリンナップ)をやりなおしたりして時間をとった経験は多いのではないでしょうか。
名指しされるレベルのプロは、構図も最初から完璧だし、線を直すとかも基本起こらない。本人もそれがわかってるからラフに何案も出しませんよ。でも、丸チョンレベルでも、アマチュアとプロではクオリティが全然違います。
工数計算していたら、駆け出しの報酬は大勝利確実ですw
プロフェッショナルとは何か
そんな彼らも、膨大な仕事を大量にこなして、時間の見積もりができるようになり、修正がすまなくてすむような見切りや判断能力を身につけてきたんです。
日本は同人活動という文化もあり、プロとアマチュアの敷居があいまいになりがち。しかし、ある時はアーティストとして振る舞い、ある時は工数計算ですっていうのは、スジが通ってない。
工数計算で見積もりを出すなら、やっぱりプロフェッショナルなので、その人日計算の根拠が欲しいし、プロフェッショナルなりの責任が求められるでしょう。
では、会社勤務でもないセミプロのイラストレーターはどうすればいいのか?
というと、
最初は納得いかない単価かもしれないけれど、請けて請けて請けまくるしかないんじゃないの?
って思うわけで……。
数回続けて発注が来れば、単価交渉はできるわけだし、それに、やっぱり上手に、早くなるのは描くしかないですからね。それも、自分の好きな絵を描く「お絵かき」ではなく、仕事として発注されたもののほうがタメになります。
工数計算を鵜呑みにして見積もりを出すよりも、予算を聞いてそれに見合う時間、クオリティにするほうが現実的ではないでしょうか。