muppi’s diary

appleTVやHULUで見た映画や海外ドラマのあらすじや感想を紹介しています。

深夜残業に違和感を感じない上司と違和感を感じない部下がエンゲージした時、問題が深刻化する

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nzmoyasystem.hatenablog.com

Facebookでいいねって言ってたら、ある人に「これをやっていたら日本で求められているクオリティにはならない」と言われた。

でも私はそうは思わないんだよ。

もちろんこのはっしーさんはいわば日本を捨てたとも言える人で。ニュージーランドに渡って後ろ足で日本の社畜wに砂かけてるとも取れる。私もこのコラム全てにいいねって思ってるわけではないです。

では私がいいなと思ってるのは何なのか? と言いますと……。

「その日本の会社、マネジメントがひどいわね。いくら長時間仕事をしたところで、仕事が終わるなんてありえないのに」

「いくら長時間働いても仕事は終わらない」と語る上司 - NZ MoyaSystem

この言葉。

上司が、長時間仕事をする現実に違和感を感じていること!

ここで誤解しないでいただきたいのは、長時間の仕事を否定しているわけではないということです。常時長時間の労働が生じることを否定しているんです。

上司が「それっておかしいんじゃないの?」って違和感を感じているだけで、社内の環境は改善する可能性ありますよ! (ただ改善すればOKなわけではないのが人間の怖いところですが。それは後述します)

 

というのも、ちょうど数年前の自社がそんな感じだったからです……。

所属している部署は割合早く帰る部署でした。上司がシングルマザーだったので、仕事は定時に終わらせる、そもそも早く帰る、という意識が強い部署でした。

※ちなみに彼女は、新人にはストップウォッチを使って自分の業務にかかる時間、目指す時間を教え込んでいる。

一方、ブラック会社を地でいくチームがいた

が、ある日気付いたのです。グラフィックチームはリーダー自らが「残業ばっかりなのに残業代も出ない、ブラック会社だ!」と言っていることに……。

はい、ITあるある、ゲーム会社あるあるです。

そこで、社内でも「さすがにチーム間で格差が出るのは問題なのではないか」と声が挙がりました。チームはほとんど女性で構成されているのに、特に長時間残業して夜道で何かあったらどうするんだ、という心配もありました。

しかし、「早く仕事をして、早く帰れ」と言っても、帰りません。

だって仕事が終わらないんですもん。

ここで会社が動き出しました。

リーダーと幾度も面談を行いました。業務内容が他チームと異なっていたため、ブラックボックス化していたチームでしたが、以下のようなことがわかりました。

  • グラフィックチームは売上は大きいが、支出も大きい
  • 常時3~5時間程度残業している
  • リーダー以下、チームメンバー全て残業している
  • 作業内容の簡略化はできる。それをやれば早くなる。が、気分的に(性格的に)したくない(できない)とリーダーは主張している。
  • リーダーは工数管理ができない、不得意
  • リーダーの仕事が遅いためそのペースでチームメンバーが仕事をしている
  • リーダーは教育は上手でチームメンバーの成果物のクオリティを上げるのには長けている

そもそもリーダーに「早く仕事を終わらせよう」とか、自分の仕事ぶりは本当に正しいのだろうかという違和感がなかったんですね。

結局、改善の最中にリーダーは退職しました。彼としては、

「自分は会社にすごく貢献していた。頑張っていた。それなのに会社にそれを認めてもらっていない」

確かに頑張っていたんでしょうが、最後まで、終電ぎりぎりまで社内に残って仕事をしていることが悪だと理解できなかった。納得もしなかった。彼にとっては、自分の満足するクオリティまで仕事をすることのほうがよほど重要だった。

そんなチームで定時に帰れる人がいるわけない。つまり、人がブラックだったわけです。

改善後

リーダー不在になり、工数管理は別チームのリーダーが行うことになりました。ただし、彼はグラフィックについては素人です。

そこで、〆切をさだめ、

「この期限までにこれらを上げてほしい。外注できる予算はこれくらいだから、◯◯だったら◯枚前後、◯◯だったら◯枚前後外注できるだろう。時間がかかると予想できるものから外注しよう。1枚1枚にかかる時間を出して、外注するものと、外注先をピックアップしてほしい」

と、チーム内のスタープレイヤーKさんにヒアリングしたのです。

すると、彼女は他のメンバーにも聞きながら、これにどのくらいかかる、どのくらいかかる、と計算を始めました。

その結果、最終的に休日出勤が発生し、そこには手当が出たものの、サービス残業はなくなり、外注費も大幅に減りました。人がひとり減ったにも関わらず、休日出勤(振替)1日×2人ですんだんです。

その後のプロジェクトも、最初に期間と〆切を決めました。

Kさんはその時間内で終わるような仕様に設定をし、それを遂行しました。

問題点と課題

Kさんは仕事が早かった。

仕事が早いとは何なのか?

それは「見切り」ではないか。

自チームの上司もそうですが、やたら判断が速い。

自分自身もそうですが、チーム内の誰がどのような業務にどのくらい時間がかかって、何が不得意であるか。自分は何をもってカバーするかを瞬時に判断しているところがあります。

常人がどうしようか……と考えるところを、まるで考えていないかのようにやる。

新たにKさんに率いられたチームは、彼女の能力に引き上げられる形で、飛躍的に生産性が上がりました。

サービス残業は基本的になくなりました。

残業する際は社内で申請をするというシステムにもなりました。

数ヶ月でできるようになったのは、工数管理が苦手なグラフィックチームには工数管理じたいはさせなかったことと、彼女の能力があってこそだったと思います。

が……そこで問題は起こった。

就業環境の改善が必ずしもいいとは限らないよ

就業環境は改善したかに見えた。

グラフィックチームの行く末を案じていた他チームもほっと胸を撫で下ろした。

リーダーと面談を開始した時期に他のメンバーとも会社は面談を始めており、リーダーが退職したあとも続けていたのですが、不満が続いた。

「残業時申請しなくてはいけないのがストレス」

「急がなくてはいけないので仕事が突然きつく感じ始めた」

「自分で時間を決めたので、遅れた言い訳ができなくなった」←イミフ

他の社員が帰ったら仕事をしながらデュアルモニターでビデオを見ていた者もいた。

要するに、彼らは、残業代が出なくてもいいから、ダラダラと仕事をしていたかったのだ!

確かに愚痴で「ブラック会社だ」とは言うものの、彼らは改善など望んでいなかった。ブラック会社でむしろよかったのだ。

真夜中に黙々とペンタブレットを動かすのが哀れに見えていたが、彼らはそれが幸せだったのである……。

まとめ

深夜残業(もちろん残業代など出るわけがない)は、特にゲーム会社ではありがちだが、それに違和感を感じない上司と違和感を感じない部下が雁首並べて仕事をしている。

彼らは自分の望むクオリティ及びこだわりに際限なく時間をつぎ込むことに幸福を覚える。

仕事を頑張っている自分が好きなので、時短のために方策を立てることをよしとはしない。むしろ彼らからするとそれらは邪道なのだ。丁寧に仕事をやることこそが仕事だと思っている。が、それらが本当に必要な努力なのか。それで売上がどれほど変わるのか。たいてい、そういった調査はなされない。そうやって、間違ったベクトルの努力が重ねられていく。

外野が何を言ったところで彼らの琴線に触れるわけがないのだ。

でももし、そうではないのであれば、改善の余地がある。

もちろん、そうするためには誰もが血を流さなければいけない。でもそこまでの覚悟を持ちさえすれば、人も会社も変わるだろう。